今こそ知っておこう!あなたのまちの伝統的工芸品!Vol.30新潟県編

この記事では全国各地に存在する、全241品目(※2023年10月26日時点)の伝統的工芸品を都道府県ごとに紹介する連載シリーズです。いきなり全241品目に目を通すのは大変だと思うので、まずは自分の地元の伝統的工芸品を知るところから始めてみるのはどうでしょう。

第30回は新潟県編!それでは早速見ていきましょう!

この記事の目次

経済産業省が指定する伝統的工芸品とは

地元の伝統的工芸品を知る前に、「伝統的工芸品とは何か」というところから説明していきます。

まず、「伝統工芸品」とは長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた工芸品のことをいいます。その数は各都道府県で指定されているものだけでも1,300品目を超えています。指定に統一のルールはなく、各自治体が独自のルールを設けて指定しています。一方「伝統”的”工芸品」とは昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。

詳しくは第1回の北海道編で紹介していますので、そちらをご覧ください。

新潟県の土地特性

新潟県は上越、中越、下越、佐渡の4つのエリアに分けられます。新潟県の面積は12,580㎢で、北海道、岩手県、福島県、長野県に次いで全国第5位の広さを持ちます。日本海に面しており、標高2,000m級の山々に囲まれているため日本でも有数の豪雪地帯として知られています。

カエルくん

佐渡島に生息するトキの学名は「ニッポニア・ニッポン」なんだって!

経済産業省が指定する新潟県の伝統的工芸品

新潟県には17品目が伝統的工芸品として指定されています。この数は沖縄県と並んで、東京都・京都府に次いで全国で3番目に多い数です。早速見ていきましょう!

塩沢紬(しおざわつむぎ)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

塩沢紬は、麻織物「越後上布」をルーツに持ちます。越後上布の技術を応用して、真綿糸を使用した絹織物である「塩沢紬」が作られました。また結城紬、大島紬と並び日本三大紬と呼ばれています。

主な産地

告示

■技術・技法
1次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)たて糸に使用する糸は生糸又は玉糸とし、よこ糸に使用する糸は真綿の手つむぎ糸とすること。
(3)よこ糸の打ち込みには、「手投杼」を用いること。
2かすり糸の染色法は、「手くくり」、「手摺り込み」又は「板締め」によること。
■原材料
使用する糸は、生糸、玉糸又は真綿の手つむぎ糸とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0111/

分類

織物

指定年月日

1975年2月17日

小千谷縮(おぢやちぢみ)

出典:新潟県ホームページ|https://www.pref.niigata.lg.jp/

江戸時代に、苧麻(ちょま)と呼ばれる麻の繊維で作られる織物が改良されて誕生しました。お湯の中で布を揉み込み独特のシボを出す「湯もみ」と、布の鮮やかさを増す「雪晒し」が特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)かすり糸は、よこ糸又はよこ糸およびたて糸に使用すること。
(3)よこ糸は、ねん糸とすること。
(4)かすり糸のかすり及び耳印を手作業により柄合わせ及び耳合わせし、かすり模様を織り出すこと。
2しぼ出しは、「湯もみ」によること。
3かすり糸の染色法は、「手くくり」又は「手摺り込み」によること。この場合において、よこ定規には、「木羽定規」を用いること。
■原材料
使用する糸は、ちょ麻糸とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0112/

分類

織物

指定年月日

1975年9月4日

小千谷紬(おぢやつむぎ)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

小千谷縮は苧麻から作られた麻織物であるのに対し、小千谷紬は繭から作られた絹織物です。着用する季節にも違いがあり、小千谷縮はさらりとした着心地のため「夏」に、千谷紬は夏以外、秋や冬に着る着物です。

主な産地

告示

■技術・技法
1次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)かすり糸は、よこ糸又はよこ糸及びたて糸に使用すること。
(3)たて糸に使用する糸は玉糸又は真綿の手つむぎ糸とし、よこ糸に使用する糸は真綿の手つむぎ糸とすること。
(4)かすり糸のかすり及び耳印を手作業により柄合わせ及び耳合わせし、かすり模様を織り出すこと。
2かすり糸の染色法は、「手くくり」又は「手摺り込み」によること。この場合において、よこ定規には、「木羽定規」を用いること。
■原材料
使用する糸は、玉糸又は真綿の手つむぎ糸とすること。

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分類

織物

指定年月日

1975年9月4日

村上木彫堆朱(むらかみきぼりついしゅ)

出典:にいがた観光ナビ|https://niigata-kankou.or.jp/

村上市は新潟県の北部に位置し、平安時代から漆の産地として知られていました。名前にもなっている「堆朱」とは、木地に彫刻を施し、塗り工程を重ねて、表面に朱の顔料を漆に混ぜた朱漆(しゅうるし)を用いる技法のことをいいます。

主な産地

告示

■技術・技法
1木彫堆朱にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)彫刻は、「引下げ彫り」又は「肉合い彫り」によること。
(2)彫刻部分の下地造り、中塗及び上塗は、指の腹又はたんぽを用いて「たたき塗」をした後、「塗り上げ」をすること。この場合において、上塗には、朱合漆に本朱を混ぜ合わせたものを用いること。
(3)仕上げは、艶消しをした後、「すり漆」をすること。
2木彫堆黒にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)彫刻は、「引下げ彫り」又は「肉合い彫り」によること。
(2)彫刻部分の下地造り、中塗及び上塗は、指の腹又はたんぽを用いて「たたき塗」をした後、「塗り上げ」をすること。この場合において、上塗には、精製黒漆を用いること。
(3)仕上げは、艶消しをした後、「すり漆」をすること。
3木彫朱溜塗にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)彫刻は、「引き下げ彫り」又は「肉合い彫り」によること。
(2)彫刻部分の下地造り、中塗及び上塗は、指の腹又はたんぽを用いて「たたき塗」をした後、「塗り上げ」をすること。この場合において、上塗には、朱合漆に本朱を混ぜ合わせたもの及びきじろ漆をそれぞれ用い、きじろ漆の「たたき塗」の前には艶消しをすること。
(3)仕上げは、艶消しをした後、「ろいろ塗」によること。
4木彫色漆塗にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)彫刻は、「引下げ彫り」又は「肉合い彫り」によること。
(2)彫刻部分の下地造り、中塗及び上塗は、指の腹又はたんぽを用いて「たたき塗」をした後、「塗り上げ」をすること。この場合において、上塗は、多種の精製彩漆を用いて「塗り分け」をすること。
(3)仕上げは、艶消しをした後、「すり漆」をすること。
5木彫金磨塗にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)彫刻は、「引下げ彫り」又は「肉合い彫り」によること。
(2)彫刻部分の下地造り、中塗及び上塗は、指の腹又はたんぽを用いて「たたき塗」をした後、「塗り上げ」をすること。この場合において、上塗は、多種の精製彩漆を用いて「塗り分け」をすること。
(3)「塗り分け」をした部分は、金箔押しをすること。
(4)金箔押しをした部分は、上塗と同色の精製彩漆を塗付した後、研炭を用いて「研ぎ出し」をすること。
(5)仕上げは、艶消しをした後、「ろいろ塗」によること。
6三彩彫にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)上塗は、中塗及び中塗研ぎをし、赤色、黄色及び青色の精製彩漆を重ねて塗付した後、精製黒漆を塗付すること。
(2)仕上げは、「ろいろ塗」によること。
(3)彫刻は、「むき彫り」によること。
■原材料
1漆は、天然漆とすること。
2木地は、ホオ、トチ若しくはカツラ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0509/

分類

漆器

指定年月日

1976年2月26日

本塩沢(ほんしおざわ)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

江戸時代に、麻織物「越後上布」の技術を絹織物に応用して作られたものが本塩沢です。「塩沢お召し」の名称で親しまれており、製作過程で作られた「シボ」が特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)たて糸のかすりとよこ糸のかすりとを手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
2地糸に使用するよこ糸は、米のりその他の植物性糊料を用いる「のり付け」をした後、「追ねん」をすること。
3かすり糸の染色法は、「手くくり」、「手摺り込み」、「板締め」又は「型紙なせん」によること。
4しぼ出しは、「湯もみ」によること。
■原材料
使用する糸は、生糸とすること。

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分類

織物

指定年月日

1976年12月15日

加茂桐箪笥(かもきりたんす)

出典:にいがた観光ナビ|https://niigata-kankou.or.jp/

加茂で箪笥が作られるようになったのは19世紀初頭と言われており、周囲に良質なキリが豊富にあったこと、加茂川の水運を利用できたこと、箪笥金具は金物の町である三条から調達できたことが深く関わっています。

主な産地

告示

■技術・技法
1乾燥は、自然乾燥によること。
2使用する板材は、無垢板とすること。この場合において、板材の厚さは、天板、側板、たな板及び束板にあっては19ミリメートル以上とし、地板、裏板及び引出しの底板にあっては7ミリメートル以上とすること。
3側板に対する天板及び地板の接合は、前留めとし、5枚組以上の組み接ぎ木くぎ打ち又は11枚組以上のあり組み接ぎにより、たな板の接合は、端止め小孔ほぞ接ぎ、かぶせ面小孔ほぞ接ぎ又は剣留め小孔ほぞ接ぎによること。
4引出しの部材の接合は、包み打付け接ぎ、組み接ぎ、あり組み接ぎ又は包みあり組み接ぎによること。
5とびら又は引戸を付ける場合には、次の技術又は技法によること。
(1)板物にあっては板材の厚さは、19ミリメートル以上とし、部材の接合は、端つぼめ又は留形本ざねほぞ端ばめ接ぎによること。
(2)枠物にあっては板材の厚さは、枠の部材にあっては19ミリメートル以上、鏡板にあっては7ミリメートル以上とし、部材の接合は、留形やといざね接ぎによること。
6側板と足との接合には、「縫いくぎ」を用いること。
7仕上げは、「うづくり」を用いる「みがき」及び「やしゃぶし着色」をした後、「ろうみがき」をすること。
■原材料
1木地は、キリとすること。
2くぎは、ウツギ製又はこれと同等の材質を有するものとすること。
3金具は、銅、銅合金又は鉄製とすること。

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分類

木工品・竹工品

指定年月日

1976年12月15日

新潟・白根仏壇(にいがた・しろねぶつだん)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

越後は浄土真宗の始祖(しそ)である、親鸞(しんらん)や日蓮宗の始祖である日蓮(にちれん)が流された地でもあり、古くから仏教信仰が盛んでした。新潟・白根仏壇の特徴は反りのある笠や、蒔絵の華やかさです。

主な産地

告示

■技術・技法
1「木地」の構造は、「ほぞ組み」による組立式であること。
2なげしは、「一文字型なげし」、「弓型なげし」及び「わらび型なげし」とすること。
3宮殿造りは、「桝組み」又は「肘木桝組み」によること。
4塗装は、精製漆の手塗りとすること。
5蒔絵及び金箔押しをすること。
■原材料
1木地は、ヒメコマツ、ヒノキ、ケヤキ、ホオ若しくはサクラ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
2金具は、銅若しくは銅合金又はこれらと同等の材質を有する金属製とすること。
3漆は、天然漆とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0802/

分類

仏壇・仏具

指定年月日

1980年10月16日

長岡仏壇(ながおかぶつだん)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

越後は浄土真宗の始祖(しそ)である、親鸞(しんらん)や日蓮宗の始祖である日蓮(にちれん)が流された地でもあり、古くから仏教信仰が盛んでした。長岡仏壇の特徴は宮殿(くうでん)の「三ツ屋根作り」と、台座と主体が分かれる組立方式であることです。

主な産地

告示

■技術・技法
1「木地」の構造は、「ほぞ組み」による組立式であること。
2なげしは、「弓型なげし」又は「わらび型なげし」とすること。
3宮殿造りは、「板組み」によること。
4塗装は、精製漆の手塗りとし、「木目出し塗り」にあっては、「ろいろ仕上げ」をすること。
5蒔絵及び金箔押しをすること。
■原材料
1木地は、ヒメコマツ、ヒバ、ケヤキ、ホオ、イチイ若しくはヒノキ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
2金具は、銅若しくは銅合金又はこれらと同等の材質を有する金属製とすること。
3漆は、天然漆とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0803/

分類

仏壇・仏具

指定年月日

1980年10月16日

三条仏壇(さんじょうぶつだん)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

越後は浄土真宗の始祖(しそ)である、親鸞(しんらん)や日蓮宗の始祖である日蓮(にちれん)が流された地でもあり、古くから仏教信仰が盛んでした。三条仏壇の特徴は、金物の町として栄えた三条の技術で作られた趣向の凝らされた金具です。

主な産地

出典:Creema|https://www.creema.jp/

告示

■技術・技法
1「木地」の構造は、「ほぞ組み」による組立式であること。
2なげしは、「弓形なげし」又は「わらび型なげし」とすること。
3宮殿造りは、「桝組み」又は「肘木桝組み」によること。
4塗装は、精製漆の手塗りとすること。
5蒔絵及び金箔押しをすること。
■原材料
1木地は、ヒメコマツ、スギ、ホオ、キリ、ケヤキ、ヒノキ、イチョウ若しくはイチイ又ははこれらと同等の材質を有する用材とすること。
2金具は、銅若しくは銅合金又はこれらと同等の材質を有する金属製とすること。
3漆は、天然漆とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0804/

分類

仏壇・仏具

指定年月日

1980年10月16日

燕鎚起銅器(つばめついきどうき)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

鎚起銅器とは一枚の銅の板を叩いて作った、やかんなどの金工品のことです。江戸時代中期に、仙台の鍛冶職人である藤七(とうきち)が鎚起の技術を燕に持ち帰ったことが始まりと言われています。

主な産地

告示

■技術・技法
1成形は、次のいずれかによること。
(1)「打ち上げ物」にあっては、次のいずれかによること。
イ「番互」又は「打ち込み」、「詰物」、「全体ならし」及び「仕上げならし」をすること。
ロ「高台落とし」、「縁起し」、「全体ならし」及び「仕上げならし」をすること。
(2)「へら絞り物」にあっては、「筒型粗製」をした後、「詰物」、「全体ならし」及び「仕上げならし」をすること。
(3)「板巻物」にあっては、縦部及び底部を「爪起し」及び、「真鍮鑞付け」により接合した後、「詰物」、「全体ならし」及び「仕上げならし」をすること。
2部品の接合をする場合には、銀、真鍮、錫若しくは半田を用いる「鑞付け」、「カシメ」又は「鋲止め」によること。
3加飾をする場合には、次のいずれかによること。
(1)「模様打ち」にあっては、手作業により金鎚又は鏨を用いて行うこと。
(2)彫金にあっては、手作業によること。
(3)切嵌にあっては、図柄の「透かし彫り」及び「紋金造り」は、糸のこ又は切鏨を用いて手作業によること。また、紋金は、「銀鑞付け」すること。
(4)「表面合金」にあっては、手作業によること。
4色上げをする場合には、「黒色着色」、「煮込み」、「いぶし」又は「斑朱銅」によること。
■原材料
地金の素地は銅又は銀とし、銀の純度は1000分の925以上とする。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0704/

分類

金工品

指定年月日

1981年6月22日

十日町絣(とおかまちがすり)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

十日町絣は、麻織物である越後縮(現在の小千谷縮)の技法を応用して作られた絹織物です。先染織物の代表的な存在で、絣模様と絹の光沢が特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)かすり糸は、よこ糸又はよこ糸及びたて糸に使用すること。
(3)たて糸のかすりとよこ糸のかすりを手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
2かすり糸の染色法は、手作業による「くびり」又は「摺り込み」によること。
3「本しぼかすり」にあっては、「地よこ糸」は「お召緯」を使用すること。「お召緯」に使用する糸は、「八丁式撚糸機」により下撚りをした後、布のり、わらびのりその他の植物性糊料を手作業によりもみ込むこと。
■原材料
使用する糸は、生糸、玉糸若しくは真綿のつむぎ糸又はこれらと同等の材質を有する絹糸とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0115/

分類

織物

指定年月日

1982年11月1日

十日町明石ちぢみ(とおかまちあかしちぢみ)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

江戸時代に、麻織物の(現在の小千谷縮)の技法を絹に応用して作られた透綾織(すきやおり)が起源と言われています。清涼感ある着心地が特徴で、夏の着物地の代表的な存在です。

告示

■技術・技法
1絣織にあっては、次の技術又は技法により製織されたしぼ出し織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)かすり糸は、たて糸及びよこ糸又はよこ糸に使用すること。
(3)かすり糸の、かすりを手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
(4)かすり糸の染色法は、手作業による「くびり」又は「摺り込み」によること。
2縞織、格子織及び色無地にあっては、次の技術又は技法により製織されたしぼ出し織物とすること。先染めの平織、綾織、朱子織、又はこれらの変化織とすること。
3しぼ出し織物に用いる地よこ糸は、「明石緯」を使用すること。「明石緯」に使用する糸は、「八丁式撚糸機」により下撚りをした後、布のり、わらびのりその他の植物性糊料を手作業によりもみ込むこと。
4しぼ出しは、「湯もみ」によること。
■原材料
使用する糸は、生糸若しくは玉糸又はこれらと同等の材質を有する絹糸とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0116/

分類

織物

指定年月日

1982年11月1日

越後与板打刃物(えちごよいたうちはもの)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

越後与板打刃物は、戦国時代に与板城主となった直江実綱(なおえさねつな)が、刀鍛冶を与板に招き刀づくりを行ったのが始まりと言われています。その後、鉋(かんな)などの大工道具の生産が始まり、全国に広く知られるようになりました。

主な産地

告示

■技術・技法
1刃物鋼は、鉄と炭素鋼を炉で熱し、鎚打ちにより鍛接すること。この場合において、のみにあっては、炭素鋼が「小羽」を包み込むようにし、「生地」を用いるかんなにあっては、「二枚付け」により行うこと。
2成形は、刃物鋼を炉で熱し、鎚打ちによる打ち延ばし及び打ち広げをすることにより行うこと。
3まさかりの全体接合は、「合わせ付け」により行うこと。
4ちょうなの「いぼ」と「ひつ」の接合は、「胴締め」により行うこと。
5のみ及びかんなの焼入れは、「泥塗り」を行い急冷すること。
6「刃付け」、「研ぎ」及び「仕上げ」は、手作業によること。
■原材料
1使用する素材は、鉄及び炭素鋼とすること。
2柄及びかんなの台は、木製とすること。

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分類

金工品

指定年月日

1986年3月12日

新潟漆器(にいがたしっき)

出典:新潟県ホームページ|https://www.pref.niigata.lg.jp/

新潟漆器は、「変塗(かわりぬり)の宝庫」と呼ばれるほどの豊富な塗りの技法が特徴です。「花塗」「石目塗」「錦塗」「磯草塗」「竹塗」の5つの技法が伝統的工芸品に指定されています。

主な産地

告示

■技術・技法
1下地は、木地に生漆を塗布した後、切粉地や錆を全面につけること。
2各塗の技法
(1)花塗にあっては、次の技術又は技法によること。
イ中塗をした後、研ぎをし、上塗をすること。
(2)石目塗(黒銅塗・青銅塗・茶銅塗・四分一塗)にあっては、次の技術又は技法によること。
イ漆を塗布した後、微細の炭粉を石目塗にあっては平均に、黒銅塗、青銅塗、茶銅塗、四分一塗にあっては斑模様に「炭粉蒔」し、「粉留」をすること。
ロ研ぎをした後、色漆を塗布し、再度研いだ後、「摺漆」を繰り返すこと。
(3)錦塗にあっては次の技術又は技法によること。
イ「型置」は、麻ひもを束ねたものを用いて、呂色漆を不規則紋様に叩き塗ること。
ロ黄、朱の色漆を塗布後、緑漆を塗布し、青息の状態の時にすず粉を摺り付け、木地呂漆を塗布すること。
ハ研ぎをした後、木地呂漆を塗布し、錦の紋様を研ぎ出すこと。
ニ仕上げは、「摺漆」、「銅摺」後、「摺漆」、「磨き」を繰り返すこと。
(4)磯草塗にあっては次の技術又は技法によること。
イ「型置」は、中塗及び研ぎをした後、たんぽを回転させるように黒の絞漆で磯草の紋様をつけること。
ロ各色漆を塗布した後、磯草の紋様を研ぎ出すこと。
ハ仕上げは、「摺漆」、「銅摺」後、「摺漆」、「磨き」を繰り返すこと。
(5)竹塗にあっては次の技術又は技法によること。
イ「竹節付」は、錆で竹の節模様(親節、溝、枝節、根節)を成形すること。
ロ錆研ぎ後、中塗用の色漆(煤竹、青竹、胡麻竹)を塗布すること。
ハ上塗は、研ぎをした後、上塗用の色漆を塗布し、胡麻竹の場合はこの上から炭粉を蒔くこと。
ニ「模様付け」は、研ぎをした後、割肌とり、小口付け、地肌引き、イガ付け、胡麻付け等の模様を付け、「真菰蒔」及び「真菰落し」を行うこと。
ホ仕上げは、「摺漆」を繰り返すこと。
■原材料
1木材は、ホオ、カツラ、トチ、ケヤキ、又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
2漆は、天然漆とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0510/

分類

漆器

指定年月日

2003年3月17日

羽越しな布(うえつしなふ)

出典:新潟県ホームページ|https://www.pref.niigata.lg.jp/

羽越しな布は、シナノキなどの樹皮から取れる繊維で作られた織物です。新潟県の他に山形県でも伝統的工芸品として指定されています。羽前(山形県庄内)の「羽」と越後の「越」を取って名づけられました

主な産地

告示

■技術・技法
1 原料のしな皮は、「しな煮」、「しなこき」、「しな漬け」を行うこと。
2 しな皮を幅三ミリメートル程度に裂き、撚りをかけながら手作業で糸状に績むこと。
3 経糸にあっては五から八回程度、緯糸にあっては二から三回程度糸車を回転させて糸に撚りをかけること。
4 織組織は、平織りを基本とすること。
■原材料
羽越地域の山間部に生育するシナノキ、オオバボダイジュ又はノジリボダイジュの樹皮から取 れる靭皮繊維とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0103/

分類

織物

指定年月日

2005年9月22日

越後三条打刃物(えちごさんじょううちはもの)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

江戸時代初期に、三条市周辺では積極的な新田開発が行われました。その影響で鎌や鍬(くわ)などの土農具を中心とした刃物製造が発展したと言われています。農閑期の農家の副業として和釘作りも盛んになり、金物の町として名が広まりました。

主な産地

告示

■技術・技法
1成形は、鉄又は鉄と炭素鋼を炉で熱し、鎚打ちによる打ち延ばし又は打ち広げを自由鍛造で行うこと。
2刃物鋼は、鉄と炭素鋼を炉で熱し、鎚打ちにより鍛接すること。この場合において、鑿(のみ)にあつては、炭素鋼を「穂」から「首」まで巻き込み、鍛接すること。
3鉞(まさかり)の全体接合は、「頭」、「胴」及び「胴先刃金」の「同時付け」により行うこと。
4和釘にあつては、「鎬(しのぎ)」を付けること。
5木鋏(きばさみ)の「色づけ」は、焼き入れ前に、炉で熱し、絹布を束ねた絹棒又はこれと同等の材料を有する布棒をこすりつけて行うこと。
6包丁、切出小刀、鉋(かんな)、鉈(なた)、鎌の焼入れは「泥塗り」を行い急冷すること。
7「刃付け」、「砥ぎ」及び「仕上げ」は、手作業によること。
■原材料
1使用する素材は、鉄又は鉄及び炭素鋼とする。
2柄は、木製とする。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0706/

分類

金工品

指定年月日

2009年4月28日

一度は行きたい関連施設

新潟県には16つの伝統的工芸品があることがわかりました。塩沢には「本塩沢」「縮」、小千谷には「縮」「紬」、十日町には「絣」「ちぢみ」など、同じ産地に似た品目が多いので戸惑った方も多いのではないでしょうか。この記事ではあまり気にせずに、織物にも種類があること、同じ織物でも製法によって異なる名称で登録されている場合があること、このくらいの知識を頭の片隅に置いておくだけで十分です。それでは、新潟県で伝統工芸に触れることのできる施設を見ていきましょう!

塩沢つむぎ記念館

出典:塩沢つむぎ記念館公式ページ|https://www.tsumugi-kan.jp/

塩沢つむぎ記念館は、「伝統工程」と「本物体験」をキーワードに伝統工芸の新たなる可能性をカタチにした、「織と文化の発信拠点」です展示販売の他に織工房・資料室があり、織物体験ではコースターやランチョンマット、ストールをはじめ様々なアイテムを作ることができます。

小千谷市総合産業会館サンプラザ

小千谷市総合産業会館サンプラザは、和装織物・和装小物の展示販売を行う匠之座(たくみのざ)、ギャラリーや体験工房が揃う織之座(おりのざ)で構成されています。体験工房で開催されるコースター織体験では、絹糸と麻糸から好きな糸・好きな色を選び体験することができます。

村上木彫堆朱会館

出典:村上市公式ウェブサイト|https://www.city.murakami.lg.jp/

堆朱の製作に関わる資料や道具や、「漆かき」の作業に使われる道具が展示されています。また、堆朱製作の工程や歴史について、日替わりで在中する職人さんに話を聞くことができたり、箸や急須台に自分の好きな模様が彫れる村上木彫堆朱の木彫体験が可能です。

燕市産業史料館

出典:燕市|https://www.city.tsubame.niigata.jp/index.html

燕市産業史料館は日本で初めて「産業」という名前を取り入れた博物館です。体験工房館では鎚起銅器製作をはじめ、鎚目入れやぐい吞み製作、スプーンの酸化発色などモノづくり体験を通じて職人技を体感することができます。

三条鍛冶道場

出典:にいがた観光ナビ|https://niigata-kankou.or.jp/

三条は古くから金物のまちとして全国に知られ、伝統的工芸品の誕生・発展を後押ししてきました。現在は、金物産業都市として日本国内に留まらず海外からも注目されています。三条鍛冶道場では、和釘づくりから始まった鍛冶の技術を学習・体験することができます。

最後に

新潟県編、いかがでしたでしょうか?
織物や金工品の生産が盛んになった理由は新潟県の気候風土の影響が強いようです。燕三条は金物の町として世界的に有名です。その背景を感じに新潟県に訪れてみてはいかがでしょうか。

カエルくん

新潟県は米の産出額・清酒の消費量が日本一!まさにお米大国だね!

参考サイト/文献
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