今こそ知っておこう!あなたのまちの伝統的工芸品!Vol.31山梨県編

この記事では全国各地に存在する、全241品目(※2023年10月26日時点)の伝統的工芸品を都道府県ごとに紹介する連載シリーズです。いきなり全241品目に目を通すのは大変だと思うので、まずは自分の地元の伝統的工芸品を知るところから始めてみるのはどうでしょう。

第31回は山梨県編!それでは早速見ていきましょう!

この記事の目次

経済産業省が指定する伝統的工芸品とは

地元の伝統的工芸品を知る前に、「伝統的工芸品とは何か」というところから説明していきます。

まず、「伝統工芸品」とは長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた工芸品のことをいいます。その数は各都道府県で指定されているものだけでも1,300品目を超えています。指定に統一のルールはなく、各自治体が独自のルールを設けて指定しています。一方「伝統”的”工芸品」とは昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。

詳しくは第1回の北海道編で紹介していますので、そちらをご覧ください。

山梨県の土地特性

山梨県は富士・東部エリア、峡東エリア、峡南エリア、中北エリアの4つのエリアに分けられます。南は富士山、西は南アルプス、北は八ヶ岳、東は奥秩父山地など、周囲を2000〜3000m級の山地に囲まれた盆地の地形です。

カエルくん

日本最古のブドウ栽培が行われたのは山梨県なんだって!

経済産業省が指定する山梨県の伝統的工芸品

山梨県には甲州水晶貴石細工(こうしゅうすいしょうきせきざいく)、甲州印伝(こうしゅういんでん)、甲州手彫印章(こうしゅうてぼりいんしょう)の3品目があります。3つの品目全てに「甲州」が入っているのが山梨県の伝統的工芸品の特徴です。

甲州水晶貴石細工(こうしゅうすいしょうきせきざいく)

出典:職人の流儀|https://www.pref.yamanashi.jp/shokuninryugi/index.html

古墳時代から金峰山(きんぷさん)では無色透明で良質な水晶の原石が発見されていました。江戸時代に甲府の金櫻神社の神主が、京都の職人である玉摺弥助(たますりやすけ)に水晶の研磨技術を教わったのが始まりだと言われています。

主な産地

告示

■技術・技法
1欠込みは、たがね及び小槌を用いて荒欠き及び小欠きをすること。
2彫りは、次のいずれかによるものとし、製品の底部は、「平面摺り」をすること。
(1)器にあっては、鉄ごまを用いる「深肉彫り」及び「平押し彫り」によること。
(2)器以外のものにあっては、鉄ごまを用いる「深肉彫り」、「浮き出し彫り」、「透かし彫り」、「線彫り」及び「平押し彫り」のうち少なくとも二つの組み合わせによること。
3みがきは、桐ごま、桐棒等を用いて砂目跡を残さずみがき上げること。
■原材料
原石は、水晶、めのう、ひすい、黒曜石又は碧玉とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/1201/

分類

貴石細工

指定年月日

1976年6月2日

甲州印伝(こうしゅういんでん)

出典:やまなしの美技|https://www.pref.yamanashi.jp/shouko/kogyo/jibasanpin/index.html

甲州印伝は、鹿の革に漆で模様をつける技法を用います。「印伝」という名は、江戸時代に来航した外国人が、印度装飾革を幕府に献上した際に印度由来であったことから「印伝」と名付けられたと言われています。

主な産地

告示

■技術・技法
1革擦りをすること。この場合において、残毛は鏝を用いて焼くこと。
2地色の着色は、藁と松脂を用いる燻し又は浸染により行うこと。3柄付けは次のいずれかによること。
(1)燻しにより地色の着色をするものにあっては、「糸巻き」、「糸絞り」、「防染糊置き」又は「漆置き」(型紙捺染を併せ行うものを含む。以下同じ。)のいずれかによること。
(2)浸染により地色の着色をするものにあっては、「漆置き」によること。
4柄付けにおいて、「漆置き」をする場合には、生漆に砥の粉、顔料及び卵白を混ぜ合わせたものを、型紙を用いて山高に盛り上げて置くこと。
5へり返しをする場合には、こばすきをすること。
■原材料
1表革は、鹿皮とすること。
2漆は、天然漆とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/1407/

分類

その他の工芸品

指定年月日

1987年4月18日

甲州手彫印章(こうしゅうてぼりいんしょう)

出典:やまなしの美技|https://www.pref.yamanashi.jp/shouko/kogyo/jibasanpin/index.html

「印章」とは、一般的なハンコを指します。印章はもともと朝廷や幕府で権威の象徴として使用されていましたが、1873年(明治6年)に発せられた太政官布告により、法的にも実印の重要性が確立し、庶民の間にも普及していきました。

主な産地

告示

■技術・技法
1「印面摺」は、砥石を用いて印面を平らにすること。
2「字入」は印稿及び字割を行った後、枠内に左文字で描くこと。
3印材がツゲ及び水牛にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)起底刀を用いて文字部分を残すよう粗彫をすること。
(2)判差刀を用い、押切刀法及び引切刀法により文字を整え、仕上げをすること。
4印材が水晶にあっては、次の技術又は技法によること。
(1)タガネ製の丸刀をたたきながら印面を彫り出すこと。
(2)タガネ製の平刀をたたきながら文字を仕上げること。
(3)タガネ製のさらい刀をたたきながら深く彫り、凹面の整形を行うこと。
■原材料
印材は、ツゲ、水牛、水晶とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/1408/

分類

その他の工芸品

指定年月日

2000年7月31日

一度は行きたい関連施設

山梨県には3つの伝統的工芸品があることがわかりました。水晶の採掘地でもある山梨県特有の伝統的工芸品が特徴でしたね。ここではそんな山梨県で伝統工芸を体験できる施設をご紹介します。

帝京大学やまなし伝統工芸館

出典:帝京大学やまなし伝統工芸館|https://www.teikyo.jp/crafts-yamanashi/index.html

帝京大学やまなし伝統工芸館は、前身である「やまなし伝統工芸館」が帝京大学からの寄付によって創立されました。隣接する帝京大学文化財研究所とともに地域の文化財保護活動に貢献しています。体験工房では貴石画作りなどを体験することができます。

山梨ジュエリーミュージアム

出典:甲州観光ナビ|https://kofu-tourism.com/

「人々とともにあるジュエリー」を基本テーマに、山梨県の地場産業である宝飾産業を広く県内外に紹介する施設です貴金属加工・宝石研磨・水晶美術彫刻の職人の作業を見学できる「実演工房」、オリジナルジュエリーの製作ができる「体験工房」が開催されています。

印傳博物館

出典:甲州観光ナビ|https://kofu-tourism.com/

印傳博物館は日本の革工芸文化を後世に伝えるとともに、伝統技術の研究・普及に資することを目的に、1999年(平成11年)に印傳屋本店2階に開設されました。印傳作品や鹿革工芸品・漆工芸品を中心に展示されています。

最後に

山梨県編、いかがでしたでしょうか?
地場産業である宝飾産業を盛り上げる取り組みを県全体がバックアップしているのが印象的ですね。山梨県を訪れた際には、宝飾産業にも目を向けて、宝石の背景を覗いてみてはいかがでしょうか。

カエルくん

山梨県は「甲斐の虎」と呼ばれた武田信玄が生まれた地だよ!

参考サイト/文献
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