経済産業大臣が指定する伝統的工芸品を中心に、伝統工芸品の展示・販売を行っている「伝統工芸 青山スクエア」。そんな日本の伝統工芸の総本山とも言える場所で店長を務める朝川 和彦さんに今回お話を伺いました。
プロフィール紹介
朝川 和彦(あさかわ かずひこ)
東京都出身。小売業(百貨店)に勤務。商品企画から販売をはじめ、海外勤務も経験。その後、2019年から経済産業大臣指定の伝統的工芸品のギャラリー&ショップ「伝統工芸 青山スクエア」の店長を務めています。
伝統工芸のミカタ 朝川 和彦
──インバウンドの増加、一人当たりの購入金額の高い欧米人の来場が増える中でも、日本人にこだわるのには、理由がある。

私たちは海外の方が好みそうとか、気に入ってくれそうといった理由だけで、展示のラインナップを変更したり、季節ごとのイベントを打ち出したりはしていないんです。ちゃんと日本人が「普通に生活を営む」上で、良いと思ったものを展示する。それと産地の人がおすすめしたいと思ったものをお預かりして置かせていただいています。インバウンドの皆様に、本当の日本はこういうものですよっていうものをちゃんと伝えることが使命だと感じています。じゃないと日本文化が伝わらないので、それは崩しちゃいけない。さらに言えば、「日本人のお客様を増やす」っていうことにもっと力を入れないといけない、とも感じています。結果として外国の方が、ここ(青山スクエア)に来れば本物があるな、という話になるので。このスタンスだけはぶらしてはいけないと強く意識するところですね。
──一般的な小売事業者とは異なった運営方法が、「本当の日本」を伝えることを可能にしている。

一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会が運営を行っているので、伝統的工芸品をお客様に知っていただくことが最大の目的のため、コツコツと長期的な視点を持った上で展開を考えることができています。
とは言っても、産地の方から製品を預かっているからそこはしっかりおすすめしないといけない。接客のプロとして、産地や職人さんの想いや情報を来場者の皆様へお伝えするし、接客させていただいたお客様の反応を産地の方へとお届けする。両者が直接顔を合わせる機会は多くないので、両者の橋渡しを行うことは私たちの大きな役目の一つです。なのでどんどん活用してください。使ってなんぼの知識ですから(笑)
──誰か一人を支援することですべてが解決することはない。伝統工芸ならではの難しさもあるという。

伝統的工芸品はほとんどが分業制で成り立っていますから、漆器を例にあげると、木を切って木材を供給する人、土台となる木地を作る「木地師」、下地を作り漆を塗る「塗師」、器に模様などをつける「蒔絵師」などなど、お椀を一つ作るにしても多くの人が関わっています。関わる人みんなが健康で文化的な生活を送るには、果たしてどれだけの金額が必要になるのか。補助金だけでは到底賄えません。伝統工芸が直面している難しさでもあると思っています。

だからこそ、私たちは製品を「紹介」する責任を背負っているとも考えています。産地や職人さんは作ることで手一杯になることも少なくないのに、百貨店のようなこれまでの売り場が少なくなる中で、新規の販路開拓まで自分たちで行うのはかなり難しい。SNSを駆使したり、ECサイトを立ち上げたりする産地の方もいますが、そこには若い方がいたり、親子でやられているところだと、お子さんがそういった部分を担っているとかで成功しているケースもありますが、大多数はそうじゃない。「青山スクエア」がそのような販売課題に対して出来ることは、まだまだあると思っています。
──伝統工芸を少しだけ気にかけてもらえるだけでも、業界のイメージは変わってくるはずだと語る、朝川さん。

最初から数万円もするお箸を買って使ってください、なんてことは言うつもりもありません。でも少しだけ、普段生活する上で日本の文化を意識してもらえたらな、とは思います。お箸もお手頃な価格のものを、ここ(青山スクエア)でも取り扱っていますし。実際に来場された日本人にも人気の高い製品です。100円でプラスチック製のお箸が簡単に手に入る時代ですが、1000円で国産木材を使用した職人技の詰まったお箸も買えるんです。毎日使うものですから、少しだけ良いものを、と考えれば手の届かない価格ではないとも思うんですよね。
──青山スクエア独自の強みとは?

「接客」が私たちの役割の一つですので、青山スクエアで展示・販売もしていますが、気に入った商品があれば後日現地で購入していただいても全く問題ありません。興味のある企業様であれば、産地や商品の説明をしながら、マッチしていると感じた際には「○○工房さんと繋ぎますから、やり取りしてみてください」みたいに紹介を行うケースも多々あります。
──もっと気軽に伝統的工芸品というものを、広く消費者の皆様に知っていただきたいし、触れる機会を作っていきたいと語る、朝川さん。

場所柄、敷居が高そうに見えますがぜひ気軽にお越しください!たまに「入場料がかかるかと思いました」とおっしゃる来場者もいらっしゃいますが、入場無料です(笑)。少しでも興味を持ってもらえたら見学だけでも大歓迎です。

青山スクエアの館内は大きく分けて常設展と企画展の2つのスペースがあります。企画展では製作体験や製作実演を開催していますので、こちらにも足を運んでもらえると嬉しいです。職人さんから生のお話を聞ける貴重な機会ですし、職人さん達も皆さんとお話するのを楽しみにされていますよ!
最後までご覧いただきありがとうございました。
青山スクエアだからこその販売スタイルが、「本当の日本」を伝える拠点になっているのですね。実際に来場された外国の方に来場理由を聞くと「日本の本物に出会うならばここ(青山スクエア)」とホテルのコンシェルジュに教えてもらった方や、口コミでの評判の良さを見聞きした方が多いのだそう。

「伝統工芸 青山スクエア」について



施設詳細
施設名 | 伝統工芸 青山スクエア |
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂8-1-22 1F |
TEL | 03-5785-1301 |
FAX | 03-5785-1302 |
営業時間 | 11:00〜19:00 ※状況により営業時間が変更になる場合あり |
定休日 | 年中無休※年末年始を除く |
アクセス | ◆電車 地下鉄「青山一丁目駅」4番北出口より徒歩3分 ◆バス ・ちぃばす「高橋是清翁記念公園前」より徒歩1分 ・都営バス 品97「青山一丁目駅前」より徒歩3分 ◆車 首都高速4号新宿線「外苑出入口」から約5分(約1km)※専用駐車場なし |
入場料 | 無料 |
Webサイト | https://kougeihin.jp/ |

伝統工芸 青山スクエアについてもっと詳しく
