先日、金沢で開催された『KOUGEI EXPO IN ISHIKAWA』の体験ブースで、本場大島紬の代表的な染色技法である「泥染め」を体験させていただきました。伝統工芸と聞くと「職人しかできないやつでしょ?」と敷居が高く感じていたのですが、30分程度で気軽に楽しめるとのこと。泥に手を突っ込むなんて小学校以来だし、これはやるしかない!ということでチャレンジしてみました。
「伝統工芸って、敷居が高そう…」と思っている方にこそ届けたい、泥まみれになって笑顔になれる充実の30分間でした!

泥は僕も大好き〜!
製作体験の前に少しだけ、本場大島紬について学んでみましょう!
本場大島紬(ほんばおおしまつむぎ)とは?
経済産業大臣の指定を受けた工芸品(伝統的工芸品)として宮崎県と鹿児島県で指定を受けている本場大島紬。奄美大島を中心に、1300年以上もの歴史を持つ絹織物です。その美しさを語るうえで欠かせないのが、“泥染め”と呼ばれる独特の染色技法です。




大島紬の深みある黒褐色は、テーチ木(車輪梅)の染料と、鉄分を多く含む泥との化学反応によって生まれます。この伝統技法は、何度も何度も繰り返す「染め」と「乾燥」の工程を通じて、徐々に布に色を重ねていくという、気の遠くなるような手仕事です。



本場大島紬の泥染めは世界的に見ても珍しいんだよ!
かつては薩摩藩への貢納品として重宝され、明治以降は世界の博覧会でも高い評価を得てきた大島紬。その背景には、泥や木、島の風土とともに歩んできた職人たちの手業があるのです。まだまだ紹介したいことはありますが、今回はここまで。本場大島紬についてもっと知りたくなった人は、また別の記事でご紹介します!



大島紬は「ゴブラン織」(フランス)、「ペルシャ絨毯」(イラン)と並び、世界三大織物の一つなんだ!
株式会社夢おりの郷(体験ブース出展企業)
株式会社夢おりの郷は、奄美大島に根づく「本場奄美大島紬」の世界を、見て、触れて、体験できる場所です。図案づくりから泥染め、機織りまで、職人たちの手仕事を間近で感じられる工房見学に加え、実際に自分の手で織ったり染めたりする体験も充実。自然と人の知恵が織りなす伝統の技を、まるで旅するように楽しめます。工房ならではの製品販売もあり、大島紬の魅力をまるごと味わえるスポットです。
web;https://www.yumeorinosato.com/shisetsusyoukai/
それでは今回「株式会社夢おりの郷」様に体験させていただいた、本場大島紬の「泥染めハンカチ作り」の様子をご覧ください!
本場大島紬の「泥染めハンカチ作り」
泥染めとは?
大まかな泥染めの手順は以下の通り。
1.テーチ木(車輪梅) の染料で布を赤褐色に染める。
2.その後、鉄分たっぷりの泥田 に入れて化学反応を起こし、黒褐色に変える。
テーチ木のタンニンと泥の鉄分が化学反応を起こし、あの深い黒褐色が生まれるのです。職人はこの工程を何度も繰り返して、大島紬の美しい色合いを作り上げます。今回は体験版なので、3回くらい繰り返せばOK。お手軽バージョンです。


スタッフさんから丁寧な説明を受けて体験スタート!まず最初の工程は…
輪ゴムで模様を作る
ハンカチを手に取り、輪ゴムでランダムに数箇所結んでいきます。これが染める前のひと工夫。輪ゴムで結んだ部分には染料や泥が入らないため、白い模様ができるのです。「どんな模様になるかな?」とワクワクしながら、あちこちを結んでみました。仕上がりを想像しながら、ちょっとしたアート気分。


テーチ木の染料に浸す
次はテーチ木の染料が入った桶にハンカチをジャボン!


染料液は見た目が濃い紅茶のようで、染めているうちにハンカチが赤茶色に変わっていきます。
「しっかり揉み込んでくださいね」とスタッフさん。
言われるがままにモミモミ。これが意外と楽しい!テーチ木の香りが漂い、「ああ、これが伝統工芸の世界か…」としみじみ。
泥田で泥染め
次はいよいよ泥の出番!


冷たくてザラっとした泥の感触。「なんだか懐かしい…」と思いつつ、泥をしっかり揉み込んでいくと、赤褐色だったハンカチが徐々に黒褐色に!


「これが泥染めか…」と感動しつつ、泥のパワーをしっかり体感!
水洗いと仕上げ
泥をしっかり揉み込んだ後は、水で泥を洗い流します。洗い終わって輪ゴムを外すと…


そこには不思議な模様が!まるで顕微鏡で見た菌の世界みたいな、予想外の仕上がりに思わず笑顔。



おお…これは唯一無二のハンカチだ!
本場大島紬の泥染め体験を終えて
30分ほどの短い時間で、こんなに楽しい体験ができるとは思いませんでした。泥染めの工程を少しでも体感すると、職人の技術と手間のすごさを改めて感じます。今回作ったハンカチは、思い出の一品として大切に使います。これをきっかけに、本場・奄美大島で本格的な大島紬の世界に触れてみたくなりました。
伝統工芸って、難しそうに見えて意外と気軽に楽しめるんだなと再発見した一日でした。
「泥って、意外と楽しい…!」次回はぜひ、本場の奄美大島で職人技を見学してみたいです。
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