今こそ知っておこう!あなたのまちの伝統的工芸品!Vol.25群馬県編

この記事では全国各地に存在する、全241品目(※2023年10月26日時点)の伝統的工芸品を都道府県ごとに紹介する連載シリーズです。いきなり全241品目に目を通すのは大変だと思うので、まずは自分の地元の伝統的工芸品を知るところから始めてみるのはどうでしょう。

第25回は群馬県編!それでは早速見ていきましょう!

この記事の目次

経済産業省が指定する伝統的工芸品とは

地元の伝統的工芸品を知る前に、「伝統的工芸品とは何か」というところから説明していきます。

まず、「伝統工芸品」とは長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた工芸品のことをいいます。その数は各都道府県で指定されているものだけでも1,300品目を超えています。指定に統一のルールはなく、各自治体が独自のルールを設けて指定しています。一方「伝統”的”工芸品」とは昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。

詳しくは第1回の北海道編で紹介していますので、そちらをご覧ください。

群馬県の土地特性

群馬県は大きく利根・沼田、吾妻、西部、県央、東部の5つのエリアに分けられます。周囲を他の県に囲まれた内陸県でもあり、県南部の伊勢崎市や桐生市、館林市などの地域は、夏になると最高気温ランキングで頻繁にニュースに取り上げられるほど気温の高い地域です。吾妻エリアは日本一の湧出量を誇る草津温泉、万病に効くと言われる四万温泉など有名な温泉地があります。

カエルくん

海に面していない県は、群馬の他にあと7県。どこだか分かるかな?

経済産業省が指定する群馬県の伝統的工芸品

群馬県には伊勢崎絣(いせさきがすり)、桐生織(きりゅうおり)の2品目があります。水はけのよい土地が桑の栽培に適していたことから、古くから養蚕(ようさん)が盛んでした。どちらの工芸品も絹織物であることが群馬県の特徴です。

伊勢崎絣(いせさきがすり)

写真提供:群馬県庁

伊勢崎絣とは、伊勢崎銘仙(いせざきめいせん)のことを指します。国の伝統的工芸品の指定を受ける際に「伊勢崎絣」の登録名で届出をしたため、伊勢崎銘仙でなく「伊勢崎絣」と呼ばれるようになりました。括り絣(くくりかすり)、板締め絣(いたじめかすり)、型紙捺染加工絣(かたがみおしぞめかこうかすり)という3種類の技法が用いられ、工程のほとんどを手作業で行うことが特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)かすり糸は、たて糸及びよこ糸又はよこ糸に使用すること。
(3)かすり糸のかすりを手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
2かすり糸の染色法は、「手くくり」、「板締め」又は「型紙なせん」によること。
■原材料
使用する糸は、生糸、玉糸若しくは真綿のつむぎ糸又はこれらと同等の材質を有する絹糸とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0105/

分類

織物

指定年月日

1975年5月10日

桐生織(きりゅうおり)

出典:Creema|https://www.creema.co.jp/

桐生織には、もじり織、お召織、緯錦織(よこにしきおり)、経錦織(たてにしきおり)経絣紋織(たてかすりもんおり)、浮経織(うきたており)、風通織の7つの技法があります。「西の西陣、東の桐生」と並び称されるように、高級絹産地として発展しました。

主な産地

告示

■技術・技法
1お召織にあっては、次の技術又は技法により製織されたしぼ出し織物とすること。
(1)先染め又は先練りの平織り、綾織り若しくは朱子織り又はこれらの変化織りとすること。
(2)お召糸に使用する糸は、下よりをした後、わらびのりその他の植物性糊料を手作業によりもみ込むこと。
(3)お召糸のねん糸には、八丁式ねん糸機を用いること。
(4)しぼ出しは、「湯もみ」によること。
(5)たて糸の密度は、1センチメートル間100本以上とすること。
2緯錦織にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの平織りの変化織り又は綾織り、朱子織り若しくはこれらの変化織りとすること。
(2)製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、6枚以上の「伏せ綜絖」又は「引箔装置」を用いること。
(3)紋は、よこ糸で表わすこと。この場合において、「八丁以上の杼」を用いて製織するものは、「縫取り紋」をすること。
3経錦織にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染めの平織り又は綾織りとすること。
(2)たて糸は、3色以上とし、2本以上の男巻から引出し一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。
(3)「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。
(4)よこ糸は、「かげぬき」と「地よこ糸」とを交互に打ち込むこと。この場合において、よこ糸の密度は、1センチメートル間40本以上とすること。
(5)紋は、たて糸で表わすこと。
4風通織にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの二重織りとすること。
(2)製織は、織物の表裏が転換するように2色以上のたて糸及び2色以上のよこ糸を用いて経緯二重織りをすること。
(3)「縫取り紋」をすること。
(4)たて糸の密度は1センチメートル間120本以上とし、よこ糸の密度は1センチメートル間40本以上とすること。
5浮経織にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りのたての重ね織りとすること。
(2)たて糸は、2色以上とし、2本以上の男巻から引出し一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。たて糸の密度は1センチメートル間150本以上とすること。
(3)「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるよう調整しつつ、製織をすること。
(4)紋は、「浮きたて」又は「浮きたて」及び「絵緯」とすること。
6経絣紋織にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの紋織りとすること。
(2)たてかすり糸の染色法は、「手くくり」、「板締め」又は「型紙なせん」によること。
(3)紋は、「絵緯」又は「縫取り紋」とすること。
7綟り織にあっては、次の技術又は技法により製織された搦み織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの搦み織りとすること。
(2)製織には、「手投杼」若しくは「引杼」、「紋振い」又は「変り筬」を用いること。
■原材料
1使用する糸は、生糸、玉糸、真綿のつむぎ糸若しくはこれらと同等の材質を有する絹糸、綿糸、麻糸又は金糸若しくは銀糸とすること。
2使用する箔は、金箔、銀箔若しくはうるし箔又はこれらと同等の効用を有するものとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0106/

分類

織物

指定年月日

1977年10月14日

一度は行きたい関連施設

群馬県には2つの伝統的工芸品があることがわかりました。養蚕が盛んだったため、絹糸づくりが発展したことが群馬県の2つの伝統的工芸品の誕生背景でしたね。早速、群馬県で見学・体験できる関連施設をみていきましょう!

いせさき明治館(旧黒羽根内科医院旧館)

出典:伊勢崎市観光物産協会|https://isesaki-kankou.com/

いせさき明治館(旧黒羽根内科医院旧館)は、1912年に建設され、群馬県内で最も古い木造洋風医院建築として知られています。建物は和洋折衷のスタイルを特徴としており、伊勢崎銘仙の展示や機織り機が内部に設置されているほか、ミュージアムショップもあります。2002年に伊勢崎市に寄贈され、現在は市の重要文化財として無料で公開されています。

たくみの里|蚕・繭・絹の家 工房

出典:たくみの里|https://takuminosato.jp/

東京ドーム約70個分にわたる「たくみの里」には、20種類以上の体験工房がそれぞれが家として点在し、年間50万人前後の観光客が訪れます。その中の一つ「蚕・繭・絹の家 工房」では、実際に明治時代に使われていた座繰り機で煮出した繭から糸を挽き、巻いた糸車に飾り付けや絵付けをする「座繰り体験」、染色した繭を使ってかわいい動物などを作る「繭細工体験」の2種類の体験コースがあります。

最後に

群馬県編、いかがでしたでしょうか?
たくみの里では、木工、竹細工、和紙などの様々な手作り体験ができます。Webサイトでは当日営業中の施設一覧があるなど、「行ったけど営業していなかった…」などの心配もありません。自然あふれる里山の雰囲気を感じながら、ここでしかできない体験を楽しんでみてください。

カエルくん

馬がたくさんいたから「群馬県」って名付けられたって本当?

参考サイト/文献
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