今こそ知っておこう!あなたの地元の伝統的工芸品!Vol.36三重県編

この記事では全国各地に存在する、全243品目(※2024年10月17日時点)の伝統的工芸品を都道府県ごとに紹介する連載シリーズです。いきなり全243品目に目を通すのは大変だと思うので、まずは自分の地元の伝統的工芸品を知るところから始めてみるのはどうでしょう。

第36回は三重県編!それでは早速見ていきましょう!

この記事の目次

経済産業省が指定する伝統的工芸品とは

地元の伝統的工芸品を知る前に、「伝統的工芸品とは何か」というところから説明していきます。

まず、「伝統工芸品」とは長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた工芸品のことをいいます。その数は各都道府県で指定されているものだけでも1,300品目を超えています。指定に統一のルールはなく、各自治体が独自のルールを設けて指定しています。一方「伝統”的”工芸品」とは昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。

詳しくは第1回の北海道編で紹介していますので、そちらをご覧ください。

三重県の土地特性

三重県は北勢、伊勢志摩、東紀州、中勢、伊賀の5つのエリアに分けられます。国内屈指のテーマパークがある北勢エリア、日本人の心のふるさとと言われる「伊勢神宮」がある伊勢志摩エリア、古い町並みが残る中勢エリア、ユネスコ世界遺産に登録された「熊野古道」がある東紀州エリア、伊賀忍者発祥の地である伊賀エリアなど、有名な観光スポットも多く、多くの旅行客で賑わう県でもあります。

カエルくん

赤福餅や松阪牛、伊勢海老…グルメもたくさん!

経済産業省が指定する三重県の伝統的工芸品

三重県には伊賀くみひも(いがくみひも)、四日市萬古焼(よっかいちばんこやき)、鈴鹿墨(すずかずみ)、伊賀焼(いがやき)、伊勢形紙(いせかたがみ)の5品目があります。くみひもや形紙など、他県にはない伝統的工芸品が特徴です。

伊賀くみひも(いがくみひも)

出典:三重県|https://www.pref.mie.lg.jp/index.shtm

伊賀くみひもは、東京で江戸組紐の技術を修得した広沢徳三(ひろさわとくさぶろう)が、1902年(明治35に、故郷の伊賀で組紐工場を開設したことから始まります。その後、女性の内職として広まっていき地場産業として根付いていきました。

主な産地

告示

■技術・技法
1糸染めは、「丸染め」、「絞り染め」又は「ぼかし染め」によること。
2組みあげには、高台(「重打台」を含む。以下同じ。)、丸台、角台、綾竹台又は内記台を用いること。
(1)高台又は綾竹台を用いる場合において、「打ち込み」には、「箆」を用いること。
(2)高台を用いて組模様を組み出す場合には、「綾取り」によること。
■原材料
1使用する糸は、生糸若しくはこれと同等の材質を有する絹糸又は金糸若しくは銀糸とすること。
2使用する箔は、金箔若しくは銀箔又はこれらと同等の効用を有するものとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0302/

分類

その他繊維製品

指定年月日

1976年12月15日

四日市萬古焼(よっかいちばんこやき)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

江戸時代中期に、桑名の商人である沼波弄山(ぬなみろうざん)が、茶の趣味が高じて茶器を焼いたのが始まりとされています。自身の作品がいつまでも変わらず残るようにと、「萬古不易(ばんこふえき)」の印を押したのが、萬古焼の名の由来と言われています。また、四日市萬古焼を代表する製品である土鍋は、国内生産の約80%を占めます。

主な産地

告示

■技術・技法
1成形は、ろくろ成形、押型成形又は手ひねり成形によること。
2素地の模様付けをする場合には、透かし紋、びり、千筋、亀甲、松皮、石目、虫喰い、はり付け、彫り、ちぎれ線筋、櫛目、印花、化粧掛け又はどべたたきによること。
3釉掛けをする場合には、浸し掛け又は流し掛けによること。この場合において、釉薬は、「灰釉」又は「透明釉」とすること。
4上絵付けをする場合には、盛り上げ、ぼかし、たたき、イッチン、線描き、重ね塗り又ははけ目によること。この場合において、絵具は、「和絵具」又は「金銀彩絵具」とすること。
■原材料
はい土に使用する陶土又は陶石は、知多黄土、垂坂黄土、垂坂青土、村上粘土、木節粘土、滝川陶石、河合陶石又はこれらと同等の材質を有するものとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0410/

分類

陶磁器

指定年月日

1979年1月12日

鈴鹿墨(すずかずみ)

出典:HIROBA! | 東海エリアの魅力発掘ウェブマガジン|https://hiroba-magazine.com/

鈴鹿墨は、奈良時代に鈴鹿の山で採れた松脂(まつやに)を燃やして煤(すす)をとり、墨を作ったことが始まりだと言われています。各工程を分業で行う「奈良墨」に対して、鈴鹿墨はすべての工程を一人で行います。

主な産地

告示

■技術・技法
1「墨玉」の仕上げは、「もみ上げ」によること。
2成形は、「型入れ成形」、「糸瓜巻き成形」、「へら押し成形」又は「手握り成形」によること。
3乾燥は、「灰替え乾燥」及び自然乾燥によること。
4仕上げは、「どう塗り」又は「あい塗り」によること。
■原材料
1煤は、松煙又は菜種油、胡麻油若しくは椿油若しくはこれらと同等の材質を有する植物油の油煙から採取したものとすること。
2膠は、牛膠若しくは鹿膠又はこれらと同等の材質を有するものとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/1003/

分類

文具

指定年月日

1980年10月16日

伊賀焼(いがやき)

写真提供:三重県観光連盟|https://www.kankomie.or.jp/

伊賀焼は、400万年前に生息していた動植物の遺骸が多く含まれる「古琵琶湖層群」と呼ばれる地層から採れる陶土を用いるため、焼成後に細かな気候ができる多孔質の焼き物であることが特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1成型は、「たたら成形」、ろくろ成形又は手ひねり成形によること。
2素地の模様付けをする場合には、線彫り、布目、イッチン、印花、三嶋手、へら目、トチリ、「松皮」又は「虫喰い手」によること。
3絵付けをする場合には、手描きによる下絵付けとすること。この場合において、絵具は、鬼板又は呉須とすること。
4釉掛けをする場合には、流し掛け、イッチン、浸し掛け、重ね掛け、吹き掛け又はろう抜きによること。この場合において、釉薬は、「灰釉」、「石灰釉」又は「青銅釉」とすること。
5絵付け及び釉掛けをしない場合には、登り窯による「ビードロ」、火色又は「こげ」を現出させること。
■原材料
使用する陶土は、「青岳がいろ目粘土」、「島ヶ原がいろ目粘土」若しくは「丸柱粘土」又はこれらと同等の材質を有するものとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0411/

分類

陶磁器

指定年月日

1982年11月1日

伊勢形紙(いせかたがみ)

出典:三重県|https://www.pref.mie.lg.jp/index.shtm

伊勢形紙は、染小紋や印伝などの柄を染めるために使います。和紙を加工した紙(型地紙)に彫刻刀で、柄を彫って作っていきます。

主な産地

告示

■技術・技法
1「法造り」には、「紙裁ち包丁」を用いること。
2「紙つけ」には、柿渋を用いること。
3「枯し」は、「自然枯し」又は「室枯し」によること。
4型彫りは、「錐彫り」、「道具彫り」、「突彫り」、「引彫り」又は「縞彫り」によること。
5「糸入れ」を行う場合は、生糸を用いること。
■原材料
1型紙に用いる紙は、手漉のコウゾ紙、ミツマタ紙若しくはガンピ紙又はこれらと同等の材質を有するものとすること。
2柿渋は、4年以上寝かしたものとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/1503/

分類

工芸材料・工芸用具

指定年月日

1983年4月27日

一度は行きたい関連施設

三重県には5つの伝統的工芸品があることがわかりました。普段はなかなか目にする機会が多くはない工芸品が多かったですね。それでは三重県で伝統工芸が体験できる施設を見ていきましょう!

伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも組匠の里

出典:観光三重(かんこうみえ) – 三重県の観光・旅行情報はここ!|https://www.kankomie.or.jp/

伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも組匠の里は、伊賀くみひもの体験と伊賀くみひもについて学べる施設です。和室の畳に座り丸台を使ってのくみひも体験や、伝統工芸士の作った作品を見学できる展示スペースがあります。

伊賀焼伝統産業会館

写真提供:三重県観光連盟|https://www.kankomie.or.jp/

伊賀焼伝統産業会館では、伊賀焼の展示・販売のほかに伊賀・信楽の茶陶、古窯出土の陶片など伊賀焼関係資料を見学できます。また、陶芸教室では「手ひねりコース」や「電動ろくろコース」を通じて、オリジナルの作品を作ることができます。

鈴鹿市伝統産業会館

写真提供:三重県観光連盟|https://www.kankomie.or.jp/

鈴鹿市伝統産業会館は、「鈴鹿墨」と「伊勢型紙」を後世に伝えていくため、市民の文化及び教養の向上のために1983年(昭和58年)に鈴鹿市が設置しました。 鈴鹿墨と伊勢型紙の商品の展示・販売や、彫刻体験・染体験などの体験メニューもあります。

ばんこの里会館

写真提供:三重県観光連盟|https://www.kankomie.or.jp/

ばんこの里会館は、展示や製品、体験を通して萬古焼の魅力を発信する拠点です。気軽な「陶芸体験コース」や「絵付け/手彫り体験コース」から、本格的に学べる「定時陶芸教室」、萬古焼を実際に使って料理を味わう「ばんこの里体験講座」など楽しみ方も様々です。

最後に

三重県編、いかがでしたでしょうか?
くみひもや形紙、墨など他の産地ではなかなか見られない伝統的工芸品ばかりでしたね。松阪牛や伊勢海老などの人気グルメを堪能しながら、貴重な伝統工芸体験もできる三重県に、あなたもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

カエルくん

志摩半島は三陸海岸、豊後水道と並んで「日本三大リアス海岸」と呼ばれてるんだって!

参考サイト/文献
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