今こそ知っておこう!あなたのまちの伝統的工芸品!Vol.27千葉県編

この記事では全国各地に存在する、全241品目(※2023年10月26日時点)の伝統的工芸品を都道府県ごとに紹介する連載シリーズです。いきなり全241品目に目を通すのは大変だと思うので、まずは自分の地元の伝統的工芸品を知るところから始めてみるのはどうでしょう。

第27回は千葉県編!それでは早速見ていきましょう!

この記事の目次

経済産業省が指定する伝統的工芸品とは

地元の伝統的工芸品を知る前に、「伝統的工芸品とは何か」というところから説明していきます。

まず、「伝統工芸品」とは長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた工芸品のことをいいます。その数は各都道府県で指定されているものだけでも1,300品目を超えています。指定に統一のルールはなく、各自治体が独自のルールを設けて指定しています。一方「伝統”的”工芸品」とは昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。

詳しくは第1回の北海道編で紹介していますので、そちらをご覧ください。

千葉県の土地特性

千葉県はいくつかエリア分けがありますが、ここでは東葛飾エリア、ベイエリア、かずさ・臨海エリア、北総エリア、九十九里エリア、南房総エリアの6つのエリア分けを採用します。東京ディズニーリゾートのあるベイエリア、「日本の玄関口」と呼ばれ日本と世界をつなぐ成田国際空港のある北総エリアなど、多くの観光客が訪れる県です。

カエルくん

2023年に東京ディズニーシーは開園40周年を迎えたよ!

経済産業省が指定する千葉県の伝統的工芸品

千葉県には房州うちわ(ぼうしゅううちわ)、千葉工匠具(ちばこうしょうぐ)の2品目があります。房総半島の資源を原材料に用いる工芸品であることが千葉県の特徴です。

房州うちわ(ぼうしゅううちわ)

出典:房州うちわ~ 風と美の調和 ~|https://www.bosyu-uchiwa.com/

房州うちわは、京うちわ・丸亀うちわとともに日本三大うちわと呼ばれています。木の柄を差し込む「京うちわ」、平たく削った竹で作られる「丸亀うちわ」に対し、「房州うちわ」は、細い篠竹(女竹)を柄とする点が特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1骨及び柄の部分は、筒状で同一の接続したメダケにより丸柄で出来ていること。
2骨作りは、「竹の選別」、「皮むき」、「磨き」をした後に次の技術又は技法によること。
(1)「割竹」は、水につけて割きやすくしたメダケを、日本剃刀を用いて細かく割くこと。
(2)細かく割いた骨を、石の上で転がす「もみ」により骨の角やささくれを取ること。
(3)うちわの骨をささえる「弓」を通す横穴を開けること。
(4)「編竹」は、編棒を差して糸を編むように骨にからめること。
(5)「柄詰」は、柄の穴に柳の枝を詰め穴を埋めること。
(6)「弓削」は鉈や小刀でマダケを削り、横穴に差すこと。
(7)「下窓」は間隔をそろえて糸を張ること。
(8)「窓作り」で弓削を曲げて糸を結び形を揃えること。
(9)「目拾い」で反発しあう交互の骨を平にしたて、形を整えること。
(10)押切器を使って余分な骨の「穂刈り」を行うこと。
(11)焜炉を使った「焼き」により骨のくせを直すこと。
3貼りは、次の技術又は技法によること。
(1)貼りには刷毛、ヘラを用いること。
(2)断裁には押切器又は断裁機を用いること。
(3)へり付けには、刷毛及び小刀を用いて縁紙を貼ること。
4柄の仕上げは、柄尻に下塗りと上塗りを行うこと。
5仕上げには、圧着器を用い、骨を浮かび上らせること。
■原材料
1竹は、骨部分には房州産のメダケ、弓には房州産のマダケ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
2編みで使用する糸は、木綿糸又は絹糸とすること。
3地紙は、和紙とし、生地は絹織物又は綿織物とすること。
4加飾をした地紙及び生地は、顔料、染料又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
5柄尻には、穴を詰めるために柳の枝を用い、下塗りには胡粉、膠を使用し、上塗りには漆か顔料又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/1402/

分類

その他の工芸品

指定年月日

2003年3月17日

千葉工匠具(ちばこうしょうぐ)

出典:千葉県ホームページ|https://www.pref.chiba.lg.jp/index.html

古墳時代から房総半島は砂鉄の産地として製鉄や鍛治が盛んに行われていました。江戸時代に、廃刀令(はいとうれい)により職を失った刀鍛冶達が工具や農具の製造を行うようになり、明治時代の散髪脱刀令(さんぱつだっとうれい)により、理髪用など用途が広がっていきました。

主な産地

告示

■技術・技法
1成形は、次のいずれかによること。
(一)鋏(はさみ)にあっては、鎚(つち)又は鑢(やすり)を用いた「刃合わせ」を行うこと。
(二)鋏以外の製品にあっては、鎚又は鏨(たがね)を用いた「叩き造形」又は「型切り造形」を行うこと。
2焼き入れを行う場合は、水又は油で急冷すること。
3焼き戻しを行う場合は、水又は油で冷却すること。
4「歪取り」、「研ぎ」及び「仕上げ」は、手作業によること。
■原材料
使用する素材は、鉄、炭素鋼若しくは鉄及び炭素鋼又はこれらと同等の性質を有する金属であること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0715/

分類

金工品

指定年月日

2017年11月30日

一度は行きたい関連施設

千葉県には2つの伝統的工芸品があることがわかりました。房総半島で採れる砂鉄や竹を原材料に用いること、江戸に近く刀鍛冶が多く住んでいたことが千葉県の伝統的工芸品の誕生に強く関連していました。ここでは千葉県で伝統工芸を体験できる施設をご紹介します。

うちわの太田屋

出典:うちわの太田屋|http://ota-ya.net/

太田屋では、うちわ作りが体験できる「うちわ教室」を実施しており、約90分間の体験で竹の骨組みに紙を貼る作業などが体験できます。またショップも併設しており、うちわや独楽を購入することができます。

株式会社五香刃物製作所

出典:株式会社五香刃物製作所|https://gokouhamono.com/

株式会社五香刃物製作所では、「洋包丁作り体験」を行うことができます。コースは、型切りから焼入れ・焼き戻し・銘切り・柄付け・刃砥ぎまでが体験できる「職人体験コース」、高級鋼材「白紙一号」を使用した「白紙プレミアム職人体験コース」、結婚式や記念品用に最適な「ウェディングケーキナイフ製作コース」などから選ぶことができます。

最後に

千葉県編、いかがでしたでしょうか?
世界的に有名なテーマパークや、店舗数日本一の大規模アウトレットモールなどの「観光・ショッピング」の他にも、産業・畜産業でも全国トップクラスを誇ります。千葉県を訪れた際には少し足を伸ばして、千葉県の歴史や自然を楽しんでみてはいかがでしょう。

カエルくん

全国の地域キャラクターのXフォロワー数において。「チーバくん(約29万人)」は「くまモン(約80万人)」についで2位なんだ!(21年12月21日時点<日経新聞社調べ>)

参考サイト/文献
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