今こそ知っておこう!あなたの地元の伝統的工芸品!Vol.33岐阜県編

この記事では全国各地に存在する、全243品目(※2024年10月17日時点)の伝統的工芸品を都道府県ごとに紹介する連載シリーズです。いきなり全243品目に目を通すのは大変だと思うので、まずは自分の地元の伝統的工芸品を知るところから始めてみるのはどうでしょう。

第33回は岐阜県編!それでは早速見ていきましょう!

この記事の目次

経済産業省が指定する伝統的工芸品とは

地元の伝統的工芸品を知る前に、「伝統的工芸品とは何か」というところから説明していきます。

まず、「伝統工芸品」とは長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた工芸品のことをいいます。その数は各都道府県で指定されているものだけでも1,300品目を超えています。指定に統一のルールはなく、各自治体が独自のルールを設けて指定しています。一方「伝統”的”工芸品」とは昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。

詳しくは第1回の北海道編で紹介していますので、そちらをご覧ください。

岐阜県の土地特性

岐阜県は飛騨、東濃、岐阜、中濃、西濃の5つのエリアに分けられます。飛騨エリアは3000m級の山岳地帯、東濃エリアの多治見市では国内最高気温になる日もあるなど、夏は暑く冬は寒いエリアです西濃エリアは、徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍が争った天下分け目の決戦「関ヶ原の戦い」が行われたことで有名です。

カエルくん

世界遺産にも登録されている「白川郷」は岐阜県にあるんだ!

経済産業省が指定する岐阜県の伝統的工芸品

岐阜県には飛騨春慶(ひだしゅんけい)、一位一刀彫(いちいいっとうぼり)、美濃焼(みのやき)、美濃和紙(みのわし)、岐阜提灯(ぎふちょうちん)、岐阜和傘(ぎふわがさ)の6品目があります。飛騨の豊富な森林資源や、名水100選の長良川をはじめとする水資源を生かした伝統的工芸品が特徴です。

飛騨春慶(ひだしゅんけい)

江戸時代初期、社寺造営の棟梁であった高橋喜左衛門(たかはしきざえもん)が、たまたま打ち割ったサワラの枇目(へぎめ)を発見して茶の盆を作ったのが始まりと言われています。使うにつれて漆が透けて美しい木目が浮かび上がってくるのが特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1 下地は、大豆汁、カゼイン等を繰り返し塗付すること。
2 塗漆は、精製生漆を「すり漆」した後、精製透漆を塗付すること。
3 木地造りは、次のいずれかによること。
(1) 挽き物にあっては、ろくろ台及びろくろがんなを用いて成形すること。
(2) 板物又は曲げ物にあっては、「小割り」、「へぎ目起こし」又は「手かんなによる仕上げ削り」をしたものを、「留付け」、「すみ丸」若しくは「すみ切り」により、又はころ等を用いて成形すること。
■原材料
1 漆は、天然漆とすること。
2 木地は、ヒノキ、サワラ、トチ若しくはヒバ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0516/

分類

漆器

指定年月日

1975年2月17日

一位一刀彫(いちいいっとうぼり)

出典:彫刻万覚帳 | プロの彫刻職人が発信するウェブマガジン|https://www.taniguchi-choukoku.com/media/

江戸時代末期に、飛騨国の根付彫刻師である松田亮長(まつだすけなが)が、イチイの木目を活かした根付を製作したことが始まりとされています。昔、イチイの木で作った笏(しゃく)を朝廷に献上したところ、他の木で作ったものより美しく・高品質であったことから、最高位の正一位にちなんで、一位といわれるようになったと言われています。

主な産地

告示

■技術・技法
1原木の木目及び「白太」又は「赤太」部分の色を製品の表面に生かすように、紙型、のこぎり、つきのみ等を用いて「木取り」及び「粗彫り」をすること。
2仕上げは、製品の外形が鋭利又は簡潔になるように、のみ等を用いて彫ること。
3彩色をしないこと。
■原材料
原木は、イチイとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0616/

分類

木工品・竹工品

指定年月日

1975年5月10日

美濃焼(みのやき)

約1400年前の飛鳥時代、須恵器(すえき)と呼ばれる土器が焼かれたことが、岐阜県東濃地方のやきもの文化の始まりだと言われています。伝統的工芸品に指定されている美濃焼には志野・黄瀬戸・織部・瀬戸黒など15種類あります。

主な産地

告示

■技術・技法
1成形は、次の技術又は技法によること。
(1)ろくろ成形、たたら成形、押型成形又は手ひねり成形によること。
(2)磁器にあっては、(1)に掲げる成形方法によるほか、素地が(1)に掲げる成形方法による場合と同等の性状を有するよう、素地の表面全体の削り整形仕上げ及び水拭き仕上げをする袋流し成形又は「二重流し成形」によること。
2素地の模様付けをする場合には、彫り、櫛目、印花、面とり、布目、はり付け、三島手、はけ目、化粧掛け又は掻き落としによること。
3下絵付けをする場合には、線描き、だみ、「描き絵」、「吹墨」、又は「摺絵」によること。この場合において、絵具は、「呉須絵具」又は「鬼板絵具」とすること。
4釉掛けは、「ずぶ掛け」、「杓掛け」又ははけ掛けによること。この場合において釉薬は、「志野釉」、「黄瀬戸釉」、「織部釉」、「鉄釉」、「御深井釉」、「灰釉」、「青磁釉」又は「美濃磁器釉」とすること。
5上絵付けをする場合には、線描き又は「筆絵付け」によること。この場合において、絵具は、「和絵具」とすること。
■原材料
はい土に使用する陶土は、もぐさ土、美濃陶土、木節粘土、がいろ目粘土、藻珪又はこれらと同等の材質を有するものであること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0406/

分類

木工品・竹工品

指定年月日

1978年7月22日

美濃和紙(みのわし)

美濃和紙は現存する日本最古の紙として、702年の美濃国の戸籍用紙が正倉院に所蔵されています。2014年には「日本の手漉き和紙技術」として石州和紙・細川紙とともに本美濃紙がユネスコ無形文化遺産に登録されました。

主な産地

告示

■技術・技法
1抄紙は、次の技術又は技法によること。
(1)「流し漉き」によること。
(2)簀は、竹製又は紗製のものを用いること。
(3)「ねり」は、トロロアオイ又はノリウツギを用いること。
2乾燥は、「板干し」又は「鉄板乾燥」によること。
■原材料
主原料は、コウゾ、ミツマタ又はガンピとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0903/

分類

和紙

指定年月日

1985年5月22日

岐阜提灯(ぎふちょうちん)

出典:Creema|https://www.creema.jp/

江戸時代に岐阜の提灯屋である十蔵が提灯を製作し、これを尾張藩に上納したことが始まりと言われています。美濃地方では薄くて丈夫な美濃和紙、良質な竹が調達できたために発展していきました。

主な産地

告示

■技術・技法
1地紙加工及び生地加工にあっては、「ドウサ引き」及び「地色引き」をすること。ただし、白張りのものは、「地色引き」をしないこと。
2地紙又は生地の加飾をする場合には、「刷り込み」又は絵付けによること。この場合において、絵付けは、手描きによること。
3火袋の加工にあっては、「型組み」、「ヒゴ巻き」、「張りつけ」、「継ぎ目切り」及び「型抜き」によること。
4木地の加工にあっては、「張り込み」、「口打ち」、「面取り」をすること。
■原材料
1地紙は、和紙とし、生地は、絹織物とすること。
2提灯の骨の素材は、マダケ又はハチクとすること。
3木地は、スギ、ヒノキ、若しくはホオ又はこれらと同等の材質を有するものとすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/1409/

分類

その他の工芸品

指定年月日

1995年4月5日

岐阜和傘(ぎふわがさ)

出典:和傘CASA|https://wagasa.shop/

岐阜和傘は江戸時代初期に、松平光重(まつだいらみつしげ)が明石から加納へ移った際、傘職人を連れてきたことから始まったと言われています。畳むと細く収まる「細物」が岐阜和傘の特徴です。

主な産地

告示

■技術・技法
1傘骨づくりは、次の技術または技法によること。
(1)「粗割」における親骨の竹の切断では、竹節を基準に位置を決め、竹切ノコを用いて切断すること。
(2)「骨そろえ」では、小刀を用いて傘骨の表面を平滑で隙間なく仕上げること。
2「轆轤・柄づくり」における「繰込み」では、竹釘を用いて頭轆轤と柄を固定すること。
3「張り」は、次の技術又は技法によること。
(1)「平張り」における傘紙の張りでは、刷毛を用いて親骨に糊を塗り、確実に接着させること。
(2)「たたみ込み」における傘紙の織り込みでは、竹ヘラ及び締め輪を用いて細身に仕上げること。
■原材料
1傘骨の竹材は、マダケ若しくはモウソウチク又はこれらと同等の材質を有するものとすること。
2轆轤の木地は、エゴノキ又はこれと同等の材質を有するものとすること。
3傘紙は、和紙又は絹織物とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/gifu-wagasa/

分類

木工品・竹工品

指定年月日

2022年3月18日

一度は行きたい関連施設

岐阜県には6つの伝統的工芸品があることがわかりました。良質な木材を原材料にした木工品や、製造に綺麗な水が大量に必要な和紙に関連する工芸品など、岐阜の豊かな森林資源を生かしたものが多かったですね。さて、岐阜県で伝統工芸を体験できる施設を見てきましょう!

美濃和紙の里会館

提供:岐阜県観光連盟

美濃和紙の里会館では、職人が使う本物の道具を用い、楮(こうぞ)100%の原料を使った紙すき体験を行うことができます。また、複数日にわたり本格的に学ぶことができる「美濃・手すき和紙体験講座(5日間コース)」や「美濃・手すき和紙基礎スクール(1ヵ月コース)」もあります。

美濃和紙あかりアート館

美濃和紙あかりアート館では、毎年秋に美濃市で開催される「美濃和紙あかりアート展」の入賞作品を展示しています。1階は製品の販売を行うショップ、2階には美濃和紙あかりアート展を再現したミュージアムがあります。

土岐市美濃焼伝統産業会館

提供:岐阜県観光連盟

美濃焼伝統産業会館は、美濃焼伝統的な文化遺産の継承・保護・育成を図り美濃焼陶磁器の発展を目的に作られた施設です。企画展や特別展が開催されている展示室、作陶(ロクロコース・手びねりコース)、絵付けコースを体験できる陶芸教室が行われています。

長良川てしごと町家CASA

出典:Kizuki.Japan|https://kizukijapan.jp

「長良川のてしごとに、触れて、体験できて、買えるCASA(いえ)」をキーワードに様々なショップが住む(入居する)、築100年を超える町屋です。中には日本で唯一の岐阜和傘専門店である「和傘CASA」岐阜提灯の展示を行っている「株式会社オゼキ」のショールームなどがあります。

最後に

岐阜県編、いかがでしたでしょうか?
岐阜市では、岐阜和傘や岐阜提灯をライトアップで彩るイベント「ぎふ灯り物語」が毎年開催されています。伝統的工芸品を生かした「岐阜ならでは」の地域資源を活用したイベントは、まちの魅力を一層高め、経済の活性化を図る取り組みとして注目されています。皆さんも「ぎふ灯り物語」に足を運んでみるのはいかがでしょうか。

カエルくん

下呂温泉は有馬温泉・草津温泉と並んで日本三名泉の一つだよ!

参考サイト/文献
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