今こそ知っておこう!あなたの地元の伝統的工芸品!Vol.13和歌山県編

この記事では全国各地に存在する、全243品目(※2024年10月17日時点)の伝統的工芸品を都道府県ごとに紹介する連載シリーズです。いきなり全243品目に目を通すのは大変だと思うので、まずは自分の地元の伝統的工芸品を知るところから始めてみるのはどうでしょう。

第13回は和歌山県編!それでは早速見ていきましょう!

この記事の目次

経済産業省が指定する伝統的工芸品とは

地元の伝統的工芸品を知る前に、「伝統的工芸品とは何か」というところから説明していきます。

まず、「伝統工芸品」とは長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた工芸品のことをいいます。その数は各都道府県で指定されているものだけでも1,300品目を超えています。指定に統一のルールはなく、各自治体が独自のルールを設けて指定しています。一方「伝統”的”工芸品」とは昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品を指します。

詳しくは第1回の北海道編で紹介していますので、そちらをご覧ください。

和歌山県の土地特性

和歌山県は紀北、紀中、紀南の3つのエリアに分けられます。県の約80%が山地で、温暖多雨な気候の影響でスギ・ヒノキ・アカマツなどの森林に覆われており、古代の和歌山は「木国(きのくに)」と呼ばれていました。また、東牟婁郡(ひがしむろぐん)にある潮岬(しおのみさき)」は本州最南端の地です。

カエルくん

紀州徳川家は、徳川将軍家に次ぐ地位を持った「徳川御三家」のひとつなんだ!

経済産業省が指定する和歌山県の伝統的工芸品

和歌山県には紀州漆器(きしゅうしっき)、紀州箪笥(きしゅうたんす)、紀州へら竿(きしゅうへらざお)の3品目があります。どの工芸品も紀伊山地の豊富な森林資源を生かした工芸品であることが特徴です。

紀州漆器(きしゅうしっき)

写真提供:(公社)和歌山県観光連盟

海南市北西の黒江地区を中心に生産されている為「黒江塗」とも呼ばれています。椀生地に渋下地を施し、その上に漆を塗るシンプルな漆器です。福島県の会津塗、石川県の山中塗・輪島塗などとともに、日本三大漆器と称されています。

主な産地

告示

■技術・技法
1木地造りは、次のいずれかによること。
(1)曲げ物にあっては、「湯曲げ」又は「挽き曲げ」によること。
(2)指物にあっては、「留付け」をすること。
(3)挽き物にあっては、ろくろ台及びろくろがんなを用いて成形すること。
2下地造りは、次のいずれかによること。
(1)渋下地にあっては、「布着せ」をし、生漆及び炭粉を混ぜ合わせたものを塗布した後、「地炭研ぎ」をすること。
(2)漆下地にあっては、「布着せ」をし、生漆及び地の粉を混ぜ合わせたものを塗布した後、「地研ぎ」をすること。
3上塗りは、精製漆を用いて「花塗り」又は「ろいろ塗り」をすること。
4加飾をする場合には、蒔絵、沈金、「青貝細工」又は「彩漆絵」によること。
■原材料
1漆は、天然漆とすること。2木地は、ヒノキ、トチ、クス、ケヤキ、セン又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0520/

分類

漆器

指定年月日

1978年2月6日

紀州箪笥(きしゅうたんす)

出典:近畿経済産業局|https://www.kansai.meti.go.jp/

紀州箪笥はすべての部材を桐で制作する「総桐」です。湿気の多い時期には水分を吸い、乾燥時には水分を出す桐の性質は、湿度を一定に保つことができるため、日本の気候において衣装や財産の保管に最適です。

主な産地

告示

■技術・技法
1乾燥は、自然乾燥によること。
2使用する板材は、無垢板とすること。この場合において、板材の厚さは、天板、側板、たな板、束板及び地板にあっては19ミリメートル以上、裏板及び引出しの底板にあっては7ミリメートル以上とすること。
3側板に対する天板、地板及びたな板の接合は、次の技術又は技法によること。
(1)側板に対する天板の接合は、次のいずれかによること。
イ胴丸型以外のものにあっては、7枚組以上の前留め組み接ぎ、前留めあり組み接ぎ又は包みあり組み接ぎによること。
ロ胴丸型のものにあっては、胴付き追入れ接ぎによること。
(2)側板に対する地板の接合は、7枚組以上の前留め組み接ぎ又は胴付き追入れ接ぎによること。
(3)側板に対するたな板の接合は、胴付き追入れ接ぎによること。
4引出しの部材の接合は、包みあり組み接ぎ、包み打付け接ぎ、あり組み接ぎ又は組み接ぎによること。
5とびら又は引戸を付ける場合には、次の技術または技法によること。
(1)板物にあっては、板材の厚さは、19ミリメートル以上とし、芯材の枠の接合は、平留め接ぎによること。
(2)枠物にあっては、板材の厚さは、枠の部材にあっては19ミリメートル以上、鏡板にあっては7ミリメートル以上とし、枠の部材の接合は、留形やといざね接ぎによること。
6仕上げは、うづくりかけをし、やしゃぶしを用いる着色をした後、ろうみがきをすること。
■原材料
1木地は、キリとすること。
2くぎは、ウツギ製又はこれと同等の材質を有するものとすること。3金具は、銅、銅合金又は鉄製とすること。

伝統工芸 青山スクエア https://kougeihin.jp/craft/0626/

分類

木工品・竹工品

指定年月日

1987年4月18日

紀州へら竿(きしゅうへらざお)

写真提供:(公社)和歌山県観光連盟

紀州へら竿は、3〜5本の竹を組み合わせ、漆を塗って仕上げるヘラブナ専用の釣り竿です。一般的には竿の先端である「穂先」にはマダケ、先端から2番目の「穂持ち」はコウチヤク、手元に近い「元」にはヤダケの3種類の竹を使って作ります。

主な産地

告示

分類

木工品・竹工品

指定年月日

2013年3月8日

一度は行きたい関連施設

和歌山県には3つの伝統的工芸品があることがわかりました。紀伊山地などの森林資源、ものづくりに必要な水を供給する日高川や有田川などの河川、温暖な気候、これらの豊かな自然環境が生み出す良質な原材料を活用した工芸品が特徴です伝統的工芸品を手に和歌山県の自然も体験できる施設をご紹介します。

紀州へら竿製作工房 匠工房

出典:紀州へら竿製作工房 匠工房|https://sites.google.com/koya36.com/takumikobo?pli=1

修行中の職人による製作作業の見学ができると共に、製作工程の一部である「火入れ」「穂先削り」や「竹小物作り」の製作体験が出来る令和3年にオープンした施設です。車で15分程度の場所には「隠れ谷池」があり、自分で作った竿掛でヘラブナ釣りを楽しむことができます。前日の電話予約で貸し竿の利用も可能です。

紀州漆器伝統産業会館

写真提供:(公社)和歌山県観光連盟

うるわし館は、紀州漆器の展示・販売コーナーや蒔絵体験ができる黒江市のシンボル的な施設です。毎年、青年部が展示用に制作するジャンボ漆器も見所の一つです。これまでにジャンボ夫婦雛のこけしやジャンボ表彰台、ジャンボ丸盆などが制作されています。

有田川町木工等体験センター

出典:有田川町|https://www.town.aridagawa.lg.jp/top/index.html

有田川町清水にある木工等体験センターでは、家具や玩具の製造見学から、竹トンボや水鉄砲、ペン立てやイスなどの木工品の製作体験ができます。

那智の滝

写真提供:(公社)和歌山県観光連盟

那智の滝は、熊野那智大社の別宮・飛瀧神社のご神体として古くから人々の畏敬を集めてきました。また、本三名瀑の一つである那智大滝は「一の滝」とも呼ばれ落差133mは日本一です。

最後に

和歌山県編、いかがでしたでしょうか?
和歌山県は、山にも海にも、たくさんの自然に囲まれています。豊かな森林資源から生まれた伝統的工芸品、勝浦市や串本町に代表される良港を生かした海産物、和歌山県を訪れた際にはどっちも合わせて楽しみたいですね〜!

カエルくん

和歌山県はみかんの産出額が日本一なんだって!みかんも食べてみたいな〜

参考サイト/文献
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